2010年9月24日(金)更新
九月というと、どんなイメージがあるでしょうか。私の場合は気分が一新されるというか、そのことで身が引き締まるというか。
思い出されるのは、一九九八年です。退学届を出して、大学院から籍を抜いたのが、その年の九月末日付、つまりは大学の暦にいう前期の最終日だったからです。すでに作家としてデビューしていて、大学院のほうは休学続きでしたので、そろそろモラトリアムも終わり、それは一種のけじめでした。これからは筆一本で行くのだという、決断でもありました。まあ、それほど悲壮な覚悟があったわけではないのですが、やはりというか、ひとつの区切りにはなりました。直木賞が一年とたたない九九年夏のことでしたから、それからは勢いもつきましたね。
そうした区切り、それまでとそれからを分ける画期のようなものは、何事にもあるようです。フランス革命の展開をみても、みつかります。一七九二年の八月十日、テュイルリ宮襲撃事件がそれで、一七八九年七月十四日のバスティーユ陥落から三年余の間は、割合ゆっくりと進んできた革命ですが、それからは共和政の樹立、王の処刑、ジャコバン派の独裁、恐怖政治と、まさに怒涛の勢いを示します。それまでは立憲王政に甘んじる政治改革、妥協せずに共和政を打ち立てるそれからが本当の革命と、そんな風に分けて考えたほうが、かえってわかりやすいくらいです。
スピード感からして別物ですから、それらを一緒にして一気に書く、あるいは読むというのはどうかと、実は違和感に悩まないではありませんでした。あげくの結論として、私の小説フランス革命は二部構成に改めることになりました。当初全十巻としていた予定も全十二巻に増やしましたので、今九月に刊行される「VI
フイヤン派の野望」で、ひとまずは第一部完となります。一七九一年十二月、パリの雪夜が終幕の場面です。一年半余のお休みをいただいて、第二部の刊行スタートは二〇一二年六月の予定です。物語は一七九二年一月、新キャラクターの登場から再開します。
この近況メールも、しばらくお休みとさせていただきます。二〇一二年六月、たっぷりと充電して、いっそうの勢いを帯びながら、またお会いしたいと思っています。