創作の風景

2008年12月26日(金)更新
 新連載の原稿にかかっています。『小説フランス革命Ⅴ 王の逃亡』として2010年3月に刊行される予定分の原稿で、「小説すばる1月号」から掲載が始まります。
1791年6月20日に起こる「ヴァレンヌ事件」が、物語の軸になります。「革命のライオン」ことミラボーに死なれて、議会工作の術を失い、フランス王一家はパリを脱出、亡命を図るも国境の手前で捕らえられてしまう、きっかけに王家の権威が失墜、革命は共和政への傾斜を強めると、そんな感じで歴史は流れていきます。
事件そのものは『ベルサイユのばら』はじめ、多くの作品で取り上げられていますから、知っているという向きも少なくないかもしれません。とはいえ、これまでは日本のものも、海外のものも、大半が王妃マリー・アントワネットの視点から描かれていると。それを私はルイ十六世の視点から書いてみようと。
ぼんやり顔の冴えない男で、ただ革命の荒波に翻弄されたと、そんなような描かれ方ばかりですが、やはりフランスの王なわけですからね。心がけて史実を調べていくと、実際けっこう奮闘しているんです、ルイ十六世というひとも。

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