創作の風景

2010年4月26日(月)更新
 五月に『フランス革命の肖像』(集英社新書)という新書を出します。その校正作業を終えたのが、つい先週の話です。毎月の連載に、単行本の校正、文庫の校正、さらにエッセイの執筆と諸々の作業が折り重なるなか、結構しんどい仕事になってしまいましたが、かたわら、いつになく楽しかったような印象もあります。
 拙著は集英社新書の「ビジュアル新書」というシリーズの一冊になる予定で、つまりは美術書の扱いです。文より画のほうが前面に出る本は、まるきり初めての経験でした。楽しかったというのも、いつもは白黒でしかない校正刷りが今回はカラーで来た、というようなところから始まって、なんとも新鮮な段取の連続だったからなのです。
 中身をいえば、フランス革命で活躍した人物、思想家から王侯貴族から、もちろん革命家にいたるまで、八十余名の人物の肖像画を一冊に集めてみようという企画です。実際に顔、顔、顔を並べてみると、歴史という対象に顔から、もう少し広くいえばビジュアルの視角から切りこんでいく、そういうアプローチもありえるなあと、これまた意外なくらいに考えさせられました。
 仕上がりも綺麗です。ぱらぱら捲るだけでも、楽しい一冊だと思います。手にとっていただけると、嬉しいです。

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