高校生のための小説甲子園

優秀賞の発表

以下の作品を優秀賞といたします。

零落れいらく東京ブロック 哀川あいかわ(東京都立片倉高等学校3年)

〈 総評 〉湊かなえ先生

 昨年より応募総数が増えたことをたいへん嬉しく思います。小説を書くことに挑戦しようと決意し、原稿用紙約30枚の物語を書ききって、応募するのは、簡単なことではありません。それを成し遂げたことに、誇りを持ってください。まずは、お疲れ様でした。そして、ありがとうございました。

 今年はオンラインでワークショップが開催できることになったので、最終候補作をもらう前から、どのような課題がよいか考えていました。効果的な比喩の練習。喜怒哀楽の感情を「嬉しい」「悲しい」などと直接的な書き方をせずに表現する方法。しかし、応募作を読んでみると、そのような練習はまったく必要ないと、考えを改めました。

 全作品、文章はとても上手です。物語に立体感を与える比喩もありましたし、きらきらとした色彩が浮かび上がってくるような描写も見られました。疾走感あふれる文章や、頭の中のカメラワークを見事に再現できている文章、流暢りゅうちょうな口語体。高校生がここまでできるのかと、感心し通し、まったくストレスなく読み終えることができました。

 ただ、それだけなのです。あえて厳しい言い方をさせてもらうと、今年の応募作の印象は「文章はうまいけれど、個性がない」です。バラエティに富んだ昨年の最終候補作とうってかわり、今年は青春小説や日常を切り取った現代小説が多かったからではありません。優秀賞の作品は、昭和20年代の設定ですが、だから選ばれたのではありません。「なるほど、そういうことか」と最後にうならされる場面があったからです。

 とはいえ、ここまで書ける方たちが、「個性」という武器を手に入れたら、逆に、怖いもの知らずです。ワークショップでは「武器の手に入れ方」の手伝いができることを目標に、課題を作りました。オンラインではあるけれど、最終候補に残った小説仲間同士が刺激を受け合い、そこで得た武器で、まずは私が倒されることを、心より期待しております。

〈 優秀賞作品講評 〉湊かなえ先生

 昭和20年代を舞台にした、売れない画家の主人公と、人気小説家の男性の、友情を描いた物語です。時代設定だけでなく、文体も昭和の文学を感じさせるもので、作者はこの時代が描かれた作品が好きで、自分も挑戦しようと思ったのかな、などと感じながら読み始めました。

 友人から「重篤な病」という手紙が届き、あわてて病院に駆けつける主人公。しかし、友人はケロッとした様子。実は、ケガをしただけなのだ、と。主人公は友人から、とある景色を「撮してきてくれ」と頼まれます。しかし、主人公はカメラを持っていないし、そんな高価な物を買うお金も持っていない。とはいえ、主人公の画風は「写実画」。そこで主人公は……。

 才能があるのに殻を破りきることができない人に、段階的にミッションを課して、その才能を花咲かせる。この設定はまったくめずらしいものではありません。だからこそ、見せ方が重要で、それが「個性」となります。時代設定、誰が誰にという関係性、才能の種類、ミッションの方法。

 画家と小説家の関係性を表す、常に小説家が主導権を握っている会話。その中に、さりげなく「夏は夜船、冬は北窓」という言葉が入ります。朴訥ぼくとつな主人公を博識な友人がからかっているような場面ですが、最後に、これは主人公に海外渡航を目指すことを促す伏線だったことがわかります。

 なるほどそういうことか! と手を打ちました。だからこの時代だったのか、とも。時代を決めたのが先だったのか、伏線を考えて、カメラの入手や海外渡航の難しい時代を選んだのか。どちらが先でも読者には関係ありません。ありがちな設定を、自分の物語に作り上げたことに拍手です。「主軸となる水流は灰を中心に――」といった絵の描写をしているところ、油絵の具のにおいにふれているところもよかったです。

 表現の仕方がぎこちない部分もややありましたが、手を打った途端に忘れました(笑)。今後のご活躍を期待しています。おめでとうございます。

湊かなえ先生からサイン入り著書を贈られた哀川さん。

〈 優秀賞作品 〉

『零落』 哀川

作品はこちら

優勝者には賞金10万円、またブロック代表に選ばれました皆さまには、湊かなえ先生からの各作品への講評、及び記念品をお送りいたします。
第3回『高校生のための小説甲子園』は2022年春に募集を開始する予定です。皆さまのご応募を心よりお待ちしております。

本選中止のお知らせ

10月24日に当社(東京)にて開催を予定しておりました「第2回高校生のための小説甲子園」の本選は、新型コロナウイルスの感染症の拡大防止の観点から、中止することにいたしました。代わりにリモートで、湊かなえ先生による小説ワークショップを、ブロック代表者にむけて開催する予定です。

これに伴い、本年は、予選通過原稿全8作品の中から、本選選考委員である湊かなえ先生および集英社文芸・文庫編集部が選考し、1作品を優秀賞(優勝者)といたします。
優秀賞(優勝者)は、当WEBサイトにて11月上旬に発表予定です。
なお、優勝者には予定通り、賞金10万円をお渡しするとともに、作品を『青春と読書』2022年2月号および当サイトに掲載いたします。
また、惜しくも優勝を逃した7名のブロック予選通過者には予定通り、記念品をお送りいたします。
本来であれば、本選にご参加いただいた方々すべてに、湊かなえ先生から直接講評をいただく予定でしたが、これについては優勝者1名の講評を当サイトに掲載、他のブロック代表者には、後日書面でお送りいたします。

全国7ブロックの代表の皆さんに直接お会いできることを、湊かなえ先生をはじめ、選考委員一同、楽しみにしておりましたが、このような対応となり、ご応募いただいた皆様には心よりお詫び申し上げます。
何卒ご理解いただけますよう、お願い申し上げます。

2021年9月30日
集英社 文芸・文庫編集部

ブロック代表の発表

この度は、たくさんのご応募、どうもありがとうございました!
素晴らしい作品が多く、選考は大変難航いたしましたが、厳正な選考の結果、以下の8点をブロック代表作品といたします。ブロック代表は7作品を予定しておりましたが、関東ブロックから2作品が選ばれましたので、全8作品となります。
ブロック代表に選ばれた皆さま、おめでとうございます。

今回は残念な結果となりました作品の中にも、題材の面白さ、文体へのチャレンジ、壮大なテーマを規定の文字数にまとめる力など、随所に惹かれる作品がたくさんありました。
皆様の才能の豊かさ、自由さ、文学への情熱に触れることができ、選考委員一同感銘を受けております。ますますのご活躍を心から祈念いたします。

〈 ブロック代表8作品 〉

北海道・東北ブロック
『モイラのそら』 神楽坂(宮城県仙台二華高等学校2年)
東京ブロック
『零落』 哀川(東京都立片倉高等学校3年)
関東(東京以外)ブロック
『破片』 陽子(神奈川県立柏陽高等学校3年)
関東(東京以外)ブロック
『と、供述しており』 藤原乖離(渋谷教育学園幕張高等学校3年)
東海・北信越ブロック
『夏月に詠う』 後藤映美(星稜高等学校2年)
近畿ブロック
『テングサバキ』 藤本滉大(クラーク記念国際高等学校三田キャンパス3年)
中国・四国ブロック
『悪女の恋』 犀河 輝(徳島県立川島高等学校3年)
九州・沖縄ブロック
『雨』 大鷲(国立大分工業高等専門学校2年)

上記の通り、本選は、湊かなえ先生、文芸・文庫編集部で選考をさらに重ね、この8作品の中から1作品を選び、11月初旬に当WEBサイトにて発表予定です。

募集要項

応募資格

  • ・全国の高校生(高等専修学校および各種学校を含む)。
  • ・予選を通過した場合、2021年10月24日(日)に集英社(東京都千代田区)にて開催予定の本選に参加することができる方。
  • ※予選を通過され、本選に臨まれる方は、保護者(法定代理人)の同意が必要となります。

予選作品募集内容

  • ・短編小説(ジャンルは不問)。オリジナル作品であること。
  • ※商業出版(WEB上も含めて)未発表のものであること、また同時にほかの賞に応募していない作品であること(同人誌や投稿サイトでの発表はOKです)。

応募原稿枚数

  • ・400字詰め原稿用紙15〜30枚 または6000〜12000字。縦書き・横書き、また手書き・パソコン(ワード等)、用紙の大きさは自由。
  • ※原稿には必ず通し番号(ページ数)をつけてください。

応募方法

・郵送または、WEB応募

郵送の場合は、下のリンクボタンから応募シートをプリントアウトし、必要事項を記入して、応募作品に添付してください。プリントアウトできない方は、①作品タイトル(ふりがなをつけて) ②作品の原稿総枚数とおおよその文字数 ③本名(ふりがなをつけて) ④ペンネーム(ある場合は) ⑤性別 ⑥年齢 ⑦郵便番号 ⑧住所 ⑨電話番号 ⑩メールアドレス ⑪学校名 ⑫学年 ⑬学校の都道府県名 を明記した用紙を、応募作品に添付してください。

○原稿宛先(郵送の場合)

〒101-8050
東京都千代田区一ツ橋2-5-10
集英社文庫編集部 「小説甲子園」係

郵送用 応募シートはこちら

WEB用 応募フォームはこちら

募集は締め切りました!

予選作品応募受付期間

本年度の原稿の募集は締め切りました!
予選の結果は、当ホームページで9月末日に発表予定です。

選考方法およびスケジュール

〈予選〉

1.北海道・東北2.東京3.関東(東京以外)4.東海・北信越5.近畿6.中国・四国7.九州・沖縄
の7つのブロックから、それぞれ予選通過作品を1作品選考し、選ばれた7名が、各ブロック代表として本選へ進みます。

・予選の結果発表について

9月末日に各ブロック代表7名を当WEBサイトにて発表。

〈本選〉

10月24日に集英社にて実施。

本選会場の集英社において、湊かなえ先生が当日発表する課題に即して、400字詰め原稿用紙2〜3枚程度の原稿を書いていただき、優勝者1名を決定します。

  • ※本選に進まれた方には、本人1名分と同伴保護者1名分の交通費、および宿泊が必要な場合には宿泊費を集英社が負担いたします。
  • ※新型コロナウイルス感染拡大状況など社会情勢に応じて、やむを得ず延期または中止となる場合があります。
・本選選考委員

湊かなえ先生、集英社文芸・文庫編集部。

・本選実施日

10月24日(日)。東京都千代田区・集英社にて。

・本選の結果発表について

10月24日(日)の本選当日に、予選作品および本選作品を合わせて審査し、優秀賞1名を決定します。
優秀賞1名には、賞金10万円(後日振込)。作品を「青春と読書」2022年2月号掲載、および当WEBサイトにて公開いたします。
惜しくも優秀賞を逃した6名の方にも、本選参加の証として記念品を贈呈いたします。
さらに本選参加者全員に、湊かなえ先生から、各作品についての講評があります。

〜湊かなえ先生プロフィール〜

広島県出身。2007年「聖職者」で第29回小説推理新人賞を受賞し小説家デビュー。2009年『告白』で第6回本屋大賞を受賞。2012年「望郷、海の星」で第65回日本推理作家協会賞(短編部門)受賞。2016年『ユートピア』で第29回山本周五郎賞受賞。近著は『カケラ』『ドキュメント』等。

©天日恵美子

応募に関する注意事項

  • ※1人で複数の作品を応募できます。複数応募される場合は、それぞれの作品に応募シートを添付してください。郵送の場合は、作品ごとに封筒を分けてお送りください。
  • ※グループ参加不可。必ず個人でご応募ください。
  • ※著作権等について
  • ・作品の著作権は応募者に帰属します。
  • ・応募作品が受賞した場合、集英社は作品の出版・公衆送信、上映・上演、映像化および二次的利用にかかる権利(著作権法第27条および第28条に規定する権利を含む)について、受賞者から独占的な許諾を受けるものとします。
  • ・集英社は、作品の出版・公衆送信および二次的利用(電子書籍、WEBサイトや誌面への掲載を含む)にあたって、受賞者に作品の一部加筆・改稿など、変更をお願いする場合があります(例:本賞を告知・宣伝する、過去の受賞者や受賞作を紹介する、作品を紹介するなどの目的で、作品の一部、お名前(ペンネーム)を当社が作成するWEBサイト、SNS、小冊子、パンフレットなどに掲載・使用する等)。

ただし、これら条件の詳細については、別途、応募者と株式会社集英社の間で個別に取り決めるものとします。

  • ※予選通過者(各ブロックの代表者)を発表する際には、当WEBサイトにて学校名、学年、本名またはペンネームを掲載いたします。WEBや出版物などに載ることを校則で禁止されている場合はご応募いただけませんので、必ずご確認ください。掲載に伴うトラブルについて、集英社は一切の責任を負いかねます。
  • ※本選の様子を集英社の出版物、WEBなどに掲載いたします。
  • ※応募作品は、第三者の著作権その他の権利を侵害せず、またそのおそれがないと認められる作品に限ります。第三者から権利侵害等の指摘がされた場合は、集英社に一切の損害を及ぼすことなく、当該本人にすべてご対応いただきます。また、発表後であっても受賞を取り消す場合があります。
  • ※応募作品はいっさい返却いたしませんので、必要な場合はコピー等ご用意ください。
  • ※選考過程、選考結果に関するお問い合わせにはお答えできかねます。
  • ※応募された方の個人情報は厳重に管理し、本企画以外の目的に利用することはありません。

主催:集英社

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