虚と実のはざまに生まれる物語
陸灯台を思わせる地上三階建ての書店。古今東西あらゆる分野の書物を揃えたその店の中では、今日も本と人が織りなす数奇なドラマがくり広げられていた。明治時代の出版業界を背景に、時代を彩った偉人たちが〈一冊の本〉に出会うまでを描いてゆく、京極夏彦さんの注目シリーズ「書楼弔堂」。待望の第二弾は、田山花袋、添田唖蝉坊、乃木希典──といった面々が登場し、明治三十年代前半の世相が鮮やかに描かれます。彼らにとって人生の一冊とは? 奥深い魅力を秘めた作品世界について、京極さんにお話を伺いました。
聞き手・構成=朝宮運河/撮影=chihiro.