『書楼弔堂 破曉』著者インタビュー

読むという行為の醍醐味

時は明治二十年代半ば、直参旗本の家に生まれた高遠は、父の縁故で勤めた会社も士族の商法で左前。病を得たのを機に、休暇と称して無為な日々を送っていた彼は、近所を散策中、一軒の本屋に巡り合う。店の名は「書楼弔堂」。街燈台のような異様な建物の中には、夥しい数の古今東西の珍本奇本、稀覯本が収められている。店の主は、客にとって大切な本を探してあげるのを己の使命としており、高遠もひょんなことから〈探書〉の手伝いをするようになる。店を訪れる客は、月岡芳年、泉鏡花、井上圓了、勝海舟、ジョン万次郎……。江戸と明治の端境期に生きる彼らは、何を求めてここへやってきたのか……。

京極夏彦さんの最新刊『書楼弔堂 破曉』は、このユニークな本屋を舞台に明治という変わりゆく時代を生きた人々の姿を描いた新シリーズ第一弾です。刊行にあたって、京極さんに本作に込めた思いなどを伺いました。

聞き手・構成=増子信一/撮影=chihiro.

  • 江戸と明治の端境期
  • 時代の流れに乗れない主人公
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