- 辻原登 編 編集協力 猪熊恵子
我々は、「夏の夕暮れの光が消えるように、儚く逝った」薄幸の少女ネル(『骨董屋』)に涙を流し、跳梁する悪と貧困、虚栄と憎悪、悲痛な恋と変身・分身の劇がめくるめくように展開する『我らが共通の友』に十九世紀小説の最高の達成をみて、胸を躍らせる。スリルありサスペンスあり、ミステリーあり、数えきれないばかりの人物たちと事件がやがてジグソーパズルが形をなすようにして、壮大な勧善懲悪のカタルシスを伴って幕を閉じる。(辻原登・解説より)
収録内容:デイヴィッド・コッパフィールド(抄)/
骨董屋(抄)/ 我らが共通の友(抄)定価:本体1,300円+税
発売日:2016年2月19日
- 「デイヴィッド・コッパフィールド」猪熊恵子・訳
父の死後に生まれたデイヴィッドは、優しい母や乳母と幸せな日々を過ごしていた。しかし新しい父親の登場によって彼の運命は狂い始める。傷ついた幼心、友情、初恋、裏切り。波乱の人生を描いた、ディケンズの半自伝的傑作小説。 - 「骨董屋」猪熊恵子・訳
骨董屋を営む老人と可憐な孫娘ネル。無慈悲な高利貸しクウィルプへの借金がもとで家を負われたふたりは、逃避行の旅に出る。だが老人には恐ろしい悪癖があり……。ふたりの行く末に待ち受ける試練と、それを追うさまざまな立場の者たち。最後にたどり着いた先に待つものとは? いたいけなヒロインが涙を誘う、哀しい運命の物語。 - 「我らが共通の友」猪熊恵子・訳
テムズ川に上がった水死体は、莫大な遺産の相続人だった! 代わりに遺産を受け取った召使夫婦、周囲に群がる浅ましい人々、貧困の運命を受け入れる少女、突然あらわれた謎の間借り人……幾多の人生が、万華鏡のように回りだす。
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