東京バンドワゴン
【第21弾】

アイ・ウォント・トゥ・ホールド・ユア・ハンド

表紙
ストーリー
【人気シリーズ、第21弾!】
花陽と麟太郎の結婚式も終えた夏の終わり。
以前イギリスでお世話になったロンドン警視庁のジュン・ヤマノウエが、ハネムーンで来日して<東亰バンドワゴン>に泊まることに。そんななか、研人がCMソングで共演した小松稚奈さんの日暮里にある実家から、有名イギリス人画家の行方不明になっていた絵画が見つかった。
日系イギリス人であるジュンのお父さんは日暮里にかつて住んでいたという話もあり……。
深まる謎を調べることに。
目次

夏 さかのぼればそこであい

秋 残されて追いかけて手を取って

冬 猫に未来にこんばんは

春 アイ・ウォント・トゥ・ホールド・ユア・ハンド

著者メッセージ

 東京のやたらお寺が多い辺りの下町で、古書店〈東亰バンドワゴン〉を営む堀田家の日々を毎年の春にお届けする〈東京バンドワゴン〉シリーズ。
 二十周年という節目を過ぎて今年で二十一作目になりました。二十一年という月日に我ながら驚いてしまいますが、これも続けさせてくれる集英社の〈チーム東京バンドワゴン〉、応援してくれる書店員さん、何より春の発売を楽しみにしてくれている読者の皆さんのお蔭でしかありません。本当に、ありがとうございます。
〈堀田家の今の一年〉を描く〈本編〉が三作続き、〈主に過去の時代の堀田家など〉を描く〈番外編〉を一作挟むという形でシリーズは続いています。二十一作目の今回は〈本編〉です。(江戸を舞台にした『隠れの子 東京バンドワゴン零』もシリーズのひとつです。主人公である堀田州次郎とるうは堀田家の直接のご先祖。州次郎は堀田勘一の曽祖父、ひいおじいちゃんです)。
 そして、物語の中ではほぼ毎年ひとつずつ年を重ねている〈堀田家〉ですが、二巻に亘って同じ季節を過ごしつつさらに〈番外編〉の年は〈なかったこと〉になりますので、実は登場人物たちは皆さんよりも数年前を生きていることになっています。
 さて、二十一作目になる本編のタイトルは『アイ・ウォント・トゥ・ホールド・ユア・ハンド 東京バンドワゴン』です。
〈アイ・ウォント・トゥ・ホールド・ユア・ハンド〉はもちろん本編ですから大ヒットしているビートルズナンバーなのですが、邦題である〈抱きしめたい〉の方がピンと来る方が多いでしょうね。どこででも聴けると思いますので読む前にでも一度聴いてみてはいかがでしょうか。
 大人の事情で歌詞をそのままは載せられないので直訳調ですみませんが〈君の手を握りたいんだ。君に恋してるんだ。頼むから君の彼氏にしてくれるって言ってくれないか〉というかなり直接的なラブレターのような歌です。
 そこで今作では全編に亘って〈恋人たちの話〉にしようと決めました。
 本編である前々作『キャント・バイ・ミー・ラブ 東京バンドワゴン』が夏で締めましたので、夏から始まり秋、冬、そして春と四季折々にいろんな恋人たちの事件というか出来事というか、そういうものを埋め込んでみました。
 いつか日本に来るだろうという布石も置いていた、ロンドンに住みサチと普通に会話ができるジュン・ヤマノウエも今作で登場します。もちろん、恋人になるんだろうとしておいたロイド警部補も一緒です。
 その他に、今までにも堀田家と一緒に過ごしていた若き恋人たちが多数登場して、賑やかにちょっとミステリ風味なども付け加えて、堀田家の一年間を物語っていきます(それと、私はちょっと某国営放送の番組に出たんですが、その辺りもちょうど良い具合だったので使わせてもらいました)。
〈あの頃、たくさんの涙と笑いをお茶の間に届けてくれたテレビドラマへ。〉
 毎回巻末に示していますが、〈東亰バンドワゴン〉はテレビの〈ホームドラマ〉をそのまま小説にしようと書き始めた物語です。
 日々の暮らしの中で、泣いたり笑ったり、走ったり転んだり、楽しく笑い合い語り合い、抱き合い肩叩き合い、手を振り握り合い、優しく微笑み明日への希望を見つめまた一日を始める。
 そういう〈ホームドラマ〉を楽しんでもらい、明日への活力にしてもらいたいと書き続けています。
 世界は、悲しいことや辛いことが長く続いて終わりがないようにも思えてきます。人間はどうしてこんなに愚かなんだろうと思えることも止みません。
 それでも、〈ホームドラマ〉を楽しめる人々が、作り続ける人がいる限り、まだまだ人間も捨てたものじゃないとも思えます。 どうぞ今回も堀田家をよろしくお願いします。