漫画家 うえはらけいた が
『鈍色幻視行』を読んでみた!
小説家の蕗谷梢(ふきやこずえ)は、謎の作家・飯合梓(めしあいあずさ)と、
その代表作『夜果つるところ』に関する作品を書こうと決意。
『夜果つるところ』は三たび映像化が試みられたが、いずれも不慮の事故で中止となった
"呪われた小説"だった。
奇しくもその関係者たちがクルーズ旅行への参加を予定しており、
梢は夫の雅春から誘われて、夫婦で乗船することになった。
船上では、映画監督の角替(つのがえ)、映画プロデューサーの進藤、
映画評論家の武井、担当編集者だった島崎、漫画家の真鍋姉妹など、
この小説にひとかたならぬ思いを持つ面々が、梢の取材に応えて語りだす。
次々と現れる新事実と新解釈。
飯合梓は本当に死んだのか?撮影現場での事故は本当に偶然だったのか?
そして、梢には自分の夫である雅春にこそ、本人に聞けないことがあった。
実は彼の前妻は、この小説の映像化に関わり、脚本の完成直後に自殺をしていた…。
旅の半ば、『夜果つるところ』を読み返した梢は、ある違和感を覚える。
2週間にわたる旅の最後に、梢がたどり着いた「真相」とは…?
エンタメ作品を多く手がける小説家。以前は大手都市銀行に勤めていた。
『夜果つるところ』について取材し作品にするため、二週間以上の船旅に出る。
梢の夫。大手の法律事務所に所属する弁護士。推理小説と映画が好き。愛煙家。
二人一組でひとつのペンネームを名乗っている漫画家。雅春の血のつながらないいとこ。
ふたりとも飯合梓のファンで独身。
『夜果つるところ』の最初の映画の助監督。雅春の遠い親戚。
白井一義監督と共に脚本作りにも携わる。七十を越えている。
角替正の妻。女優。夫より十歳ほど年下。
『夜果つるところ』を文庫化した担当編集者で、飯合梓とも面識があった。だが、彼女の顔をよく覚えていない。すでに引退しているが、文芸の世界では有名な編集者。
夫とは違う会社の編集者で、女性誌を作っていた。社交的で明るい。
『夜果つるところ』の二度目の映画化を試みたプロデューサー。六十は過ぎているようだが、年齢不詳な印象。小柄で細い目をしている。
五十年以上にわたり活動している映画評論家。九十歳近い。
ファンタジー小説に出てくる魔法使いのような風貌。
蕗谷夫妻は彼のファン。角替夫妻と昔から仲が良い。
京太郎のパートナー。色白で彫りの深い顔立ちの美形。二十六歳。
築地の魚屋の次男坊。あだ名は「Qちゃん」。
『夜果つるところ』の著者で、謎の多い人物。北海道出身だという噂がある。
失踪して七年が経ち、すでに死亡したとされている。いつも目深に帽子をかぶっていた。
雅春の前妻。脚本家。五年前、『夜果つるところ』の脚本を完成させた直後に自殺している。
完璧主義で几帳面な性格だった。
本を閉じれば現実、という読書の旅において、はたして私は無事にその世界から戻ってこられたのか。
いつまでもその世界にぼんやりと佇んでいるような、そんな心を掴んで離さない作品でした。
何もこわがらせようという文章ではないのに、ぞっとしてしまいます。
蔦屋書店熊本三年坂
迫 彩子さん
はじめはこれはオドロオドロしい怖いやつかとドキドキしましたが人間ドラマでした。
なぜ映画は何度もお蔵入りになってしまったのか。
各方面から色々な話がなされ、物語の、そして作者である謎の作家を想像する。
うーん上手く考えられているな。
水嶋書房くずは駅店
枡田 愛さん
連載から16年、本当に待ってました。
これほど「大団円」という言葉がしっくりくる物語は久しぶり。
船旅を終え、現実の生活に戻る彼らには、「真相」を考えてしまう日々が待ち受けているのではないかとふと考えてしまう。
文教堂書店新札幌DUO店
若木 ひとえさん
こんなに心の奥底まで届く作品は久しぶりです。
『夜果つるところ』から読み、『鈍色幻視行』を読んだ後に再度『夜果つるところ』を読み返しました。
2度目は、全く違った顔が現れました。この2冊にかける作者の力と念が、伝わるようでした。
TSUTAYA BOOKSTORE ららぽーと
EXPOCITY
飯室 繁樹さん
何が真実で何が虚構なのかを登場人物たちと共に考える時間は、とても楽しく夢中になってしまう胸躍る時間でした。
呪われた小説『夜果つるところ』を、どのタイミングで読むかでも少し印象が変わってくると思うので、そこも楽しみたいです。
川上書店ラスカ茅ケ崎店
鈴木 詩織さん
クリエーターたちが、何を思って作品を作り上げているのかが垣間見えた気がした。
この後『夜果つるところ』を読み、私はどんな感想を持つのだろう?
そして、私が思い描く飯合梓とはどんな人物像になるだろうか?自分なりの解釈を楽しみたいと思う。
未来屋書店明石店
大田原 牧さん