※韓国書店組合連合会による「地域書店go」より。
朗読しているのは、ジョンソがヨンジュの家で「受け入れられている」と感じた場面です。
場所:낯설여관 204호(ナッソル旅館)京畿道水原市
京畿道水原市
著者プロフィール
ファン・ボルム(황보름)
小説家、エッセイスト。大学でコンピューター工学を専攻し、LG電子にソフトウェア開発者として勤務した。転職を繰り返しながらも、「毎日読み、書く人間」としてのアイデンティティーを保っている。
著書に『毎日読みます』、『生まれて初めてのキックボクシング』、『このくらいの距離がちょうどいい』がある(いずれもエッセイ、未邦訳)。
(いずれもエッセイ、未邦訳)。
本書が初の長編小説となる。
本書が初の長編小説となる。
あらすじ
ソウル市内の住宅街にできた『ヒュナム洞書店』。会社を辞めたヨンジュは、追いつめられたかのようにその店を立ち上げた。書店にやってくるのは、就活に失敗したアルバイトのバリスタ・ミンジュン、夫の愚痴をこぼすコーヒー業者のジミ、無気力な高校生ミンチョルとその母ミンチョルオンマ、ネットでブログが炎上した作家のスンウ……。
それぞれに悩みを抱えたふつうの人々が、今日もヒュナム洞書店で出会う。
ネットの電子出版プロジェクトから
瞬く間に人気を博した、本と書店が人をつなぐ物語
イラスト/バン・ジス
あらすじ
ソウル市内の住宅街にできた『ヒュナム洞書店』。会社を辞めたヨンジュは、追いつめられたかのようにその店を立ち上げた。書店にやってくるのは、就活に失敗したアルバイトのバリスタ・ミンジュン、夫の愚痴をこぼすコーヒー業者のジミ、無気力な高校生ミンチョルとその母ミンチョルオンマ、ネットでブログが炎上した作家のスンウ……。
それぞれに悩みを抱えたふつうの人々が、今日もヒュナム洞書店で出会う。
ネットの電子出版プロジェクトから
瞬く間に人気を博した、本と書店が人をつなぐ物語
イラスト/バン・ジス
「本を読んでみたら、わかることがある。著者たちもみんな 井戸に落ちたことのある人 なんだってこと」
「夢を諦めたほうが楽しく生きられる確率が高いんじゃないかなと。 僕は楽しく生きたいんです」
「みんな迷惑をかけながら生きるの 。たまにはいいこともしてさ」
「心が泣いてるときは泣かないとダメなの 。我慢してたらなかなか良くならない」
「僕、得意なこともないけど、 好きなこともないんですよ」
「文章を書いていると、 知らず知らずのうちに嘘をついてしまう こともあるんです」
『ライ麦畑でつかまえて』J・D・サリンジャー
『フラニーとゾーイー』J・D・サリンジャー
『目覚めの季節 ― エイミーとイザベル』エリザベス・ストラウト
『モラル・トライブズ――共存の道徳哲学へ』ジョシュア・D・グリーン
『光の護衛』チョ・ヘジン
『父が子に語る世界歴史』ジャワーハルラール・ネルー
『人生をより美しく』シーモア・バーンスタイン
『あまりにも真昼の恋愛』キム・グミ
『ショウコの微笑』チェ・ウニョン
『The Refusal of Work: The Theory and Practice of Resistance to Work, 』(David Frayne/邦訳なし)
『ニコマコス倫理学』アリストテレス
『デミアン』ヘルマン・ヘッセ
『その男ゾルバ』ニコス・カザンザキス
『優雅なハリネズミ』ミシェル・バルベリ
『かなしい生きもの』モーニカ・マローン
『赤い薔薇ソースの伝説』ラウラ・エスキヴェル
『生きるということ』エーリッヒ・フロム
『夕暮れの邂逅』朴婉緒(パク・ワンソ)
『立っている女』朴婉緒(パク・ワンソ)
『夜のふたりの魂』ケント・ハルフ
『白い巨塔』
『秘密の森〜深い闇の向こうに〜』
『シーモアさんと、大人のための人生入門』
『いまを生きる』
『海よりもまだ深く』
会社を辞め、カフェ付きの書店を始めたヨンジュ。悩みながらも本と人が出会う架け橋となる店を作り上げていく。ヨンジュと周りの人たちの程よい距離感。悩みは尽きないけれど、少しずつ前に進んでいくヨンジュたち。立ち止まっても、本がそっと背中を押してくれる。胸にぽっとあかりが灯るような物語です。
MARUZEN 名古屋本店 竹腰香里さん
本とコーヒーはよく似合う。心が疲れた人を癒してくれる場所のひとつに本屋があるコトにほっとする。読み終わった後、優しい気持ちになれる一冊。
精文館書店 中島新町店 久田かおりさん
短い章立てでエピソードを積み重ね、たくさんの人物を有機的に繋ぎ合わせる手法が見事。書店が建つ町や書店を取り巻く人々、さらに主人公のヨンジュ自身も立体的に描かれている。さまざまな悩みを抱えた人たちがそれぞれの答えにたどり着く様子を読んで、自分の生活をじっくり考えるきっかけになった。
HMV&BOOKS OKINAWA 中目太郎さん
装丁がきれいでひとめぼれ。韓国の書店を舞台に、書店に集まる人々を描いた小説。本も、書店もまだまだ捨てたもんじゃないと希望が見えた気がしました。
大垣書店 京都本店 中澤めぐみさん
何か思うことがある時に、即決する必要はないんだなと少し安心した。大きな目標を立てたり、目に見えて前進しているわけじゃなくても、一歩ずつ日々を過ごしていけば、いつか分かるようになるのかもしれない。日常はただの繰り返しではなく、何かは変化しているから。気づかないうちに、自分の気持ちも。あと、冗談があると毎日がちょっと明るくて楽しい。これはとても重要かもしれない(笑)
蔦屋書店 茂原店 松浦直美さん
本に触れていると、いま解決できなくてもいつか理解できる希望と、大切な人生をみんなで分かち合える喜びが、心のなかにじんわりと積み重なっていく。そんな力に満ちたヒュナム洞書店に寄り添う読者がみんな幸せになれるように。読み終えると、掛け替えのない素晴らしい世界が広がっていくはずだ。
大盛堂書店 山本亮さん
ソウル市内で独立系書店を始めたヨンジュ。店でコーヒーを出すため雇ったバリスタのミンジュン。本はそんなに毎日変化するわけでもなく、よく来てくれる客にもそれほど事件があるわけじゃない。でも本人達が気が付かない細かな変化がこの書店という空間で起こっている。最近は日本も本屋が減ってきているが、本だけじゃなく本屋という空間ができる事、誰かの心を慰めることはあるのではないかと感じた。本屋で働いていて良かったと思えた。
ジュンク堂書店 三宮店 鈴木ひとみさん
こんな書店、本当にあったら行きたい!いや、働きたい! 登場人物たちの距離感がとてもいい。気をはらず、ゆるゆるした感じで読めます。
平和書店アル・プラザ栗東店 Tさん
「休(ヒュ)」の字が入ったヒュナム洞書店は、その名の通り、走り続けた人、悩み続けた人が、一旦足を止めて訪れる場所。そこには、スタッフを含め、訳ありの人々が集う。その誰かに自己投影して読むと、自ずと進むべき道が見えてくるかも知れない。たとえ答えが見つからなくても、あなたへの応援歌になるだろう。
明林堂書店 フジ西宇部店 田中由紀さん
そんなに大きくない町の、新刊もそんなに入ってこない書店。泣いてばかりいた若い女店主と近所の常連さんたち。店内に漂うコーヒーの香り。心動いてしまいました。だけどみんなが仲良しこよしじゃない。言いたくないことは言わないし。そうやって距離を置いていたのに、少しずつそれぞれの気持ちが溢れてきて…。舞台は韓国だけれど主人公のヨンジュをはじめとして社会や家族との関係に悩む彼らに共感できるところが凄く多かった。応援したりもらい泣きしたりとても胸がいっぱいになる作品でした。
紀伊國屋書店 広島店 藤井美樹さん
毎日を大事に丁寧に過ごす、本を愛し、書店を愛し、誰にも差別なく接する事の出来る彼女の暮らしぶりがとても心地よく書店員である自分も幸せになる一冊でした。
あおい書店 富士店 望月美保子さん
ヒュナム洞書店のヨンジュのように自分の好きな本を置く癒しのあるオアシスの様な本屋さんをいつかできたらいいなと思いました。元気をもらえる一冊です。
くまざわ書店 松戸店 荒木香里さん
本屋とは、悩む人たち、孤独を感じる人たち、傷ついた人たち、迷う人たち、答えを出せないでいる人たちの居場所ではなかったか。答えなんか簡単に出なくていい。本屋に寄るだけで何となく次の日も生きてしまう。本屋とはそんな場所ではなかったか。ということを思い出し、30年も本屋に勤めていながらいまだに自信の持てないオレにとって、答え合わせのような本だった。
ときわ書房 志津ステーションビル店 日野剛広さん
人が集まる場所に本がある。本屋だから、本を読むことができ、買うことができる。そして、集まった人たちと言葉を交わし、会話になり、そこから人間関係が築かれていく。そういう場所で築いた人間関係が今後の人生に大きく影響を与えることもあるだろう。書店はドラマティックであれというわけではなく、そういうドラマも多く起こり得る場所だと私は思う。幼い頃、初めて自分で絵本を選んだこと。学生時代、友達と朝読書の本を買いに行ったこと。クリスマスに親友とお互いに本を贈りあったこと。強く残る記憶ではないかもしれないけれど、何かのときにふと思い出すような記憶の舞台として書店があるといい。そう思わせてくれる作品だった。
ブックセンター ジャスト大田店 島田優紀さん
仕事を辞め、町の片隅に小さな書店を開いた女性店主。クセが強い常連客や、イベントで招待した作家たちと触れ合う中で、小さな町の書店が、どんどん魅力的な独立系書店へと成長してゆきます。壮大なストーリーというよりは、人々のささやかな交流をゆるやかに描くエピソード集という印象なのですが、そこで交わされる言葉や想いの交歓が非常に良いです。各人の悩みがそれぞれ見事に解決して、伏線回収!大団円!!みたいな派手さはなく、けれど、物事の複雑さやモヤモヤしたものはそのままに、ただ、まごころと勇気を持って生きていけば、まぁなんとかなるんじゃない?くらいの頑張りすぎない言葉の数々がそっと、疲れた心と体に寄り添ってくれます。作中で描かれる、書店や出版業界を取り巻く状況は韓国も日本と変わらないようで、そういう意味でも参考になったり、いま、書店員として何が出来るか、何をしたいのかなんて参考になったりもして、とどのつまりは、もっと多くの人に読書を楽しんでもらいたい、届けたいという想いに辿り着きました……というか、いま、自身の立っている場所がしっかり掴めたような気がしました。ヒュナム洞の“ヒュ”には「休」という漢字を当てるそうです。頑張り過ぎないで、休み休みいきましょう。できれば、傍らには本を携えて。
三省堂書店 成城店 竹村真志さん