・2023年3月18日付「日本経済新聞」の『活字の海で』にて紹介されました!

・2023年4月17日付「読売新聞」(東京版/夕刊)にて紹介されました!

・2022年4月21日付「新文化」にて紹介されました!

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・2022年4月19日付「文化通信」にて紹介されました!

編集にあたって

歴史への興味の根底には、人間への関心がある。

『史記』を「列伝」が支えるように、
歴史書に力を吹き込むのも評伝である。
私たちは、誰もが内に持つ自然な好奇心に着目し、
有名無名の人々の評伝を積み重ねて描く
『アジア人物史』を構想した。
対象とする地域は、東アジア、東南アジア、南アジア、中央アジア、
西アジア、すなわちアジアと名指される領域の全体である。

現代のアジア史研究を代表する
編集委員たちが集い、

数年がかりで協議を重ね、各エリアの主人公、副主人公、
彼らを包み込む人々の連関性を発見し、
魅力的な小宇宙を形成していった。

人物選定の際に重視したキーワードは
“交流”である。

それは交易や、宗教、思想、芸術の伝播といった
平和友好的なものに限らず、
略奪、侵略、戦争などの激しい衝突をも含む。
また、長い時を超えた“交流”もある。
私たちは、一冊の中に全地域の人物群を万遍なく配し、
小宇宙同士を越境的に繫ぎ、
第一巻から最終巻まで概ね時代順に配列した。
こうした構成から、縦割りの地域史とは違う
“アジア通史”とでもいうべき像が、
自ずと浮き彫りになるだろう。
東洋史研究の厚みを継承する人々の力を結集したこの試みが、
異なる文化圏、言語圏の読者にも
共有される日が来ることを願ってやまない。

【総監修】姜尚中

カン・サンジュン
1950年、熊本県生まれ。政治学者・東京大学名誉教授・鎮西学院大学学長。著書にミリオンセラーの『悩む力』をはじめ、『マックス・ウェーバーと近代』『維新の影』など多数。

刊行に寄せて(月報エッセイより一部抜粋)

浅田次郎

会いたい人

もし時空を旅して、歴史上の人物のうちひとりだけに会えるとしたら、迷わずこの名を上げるだろう。

乾隆帝。

清の第六代皇帝である。考えてみれば、太古から連綿と続いた中華皇帝の「うしろから七番目」にはちがいないのだが、あらゆる意味で彼に比肩しうる絶対君主は、中国史にもおそらく世界史にも見当たるまい。(中略)

紫禁城の御殿は今も乾隆帝の宸筆で埋め尽くされている。動乱の時代を経ても、その神性に手を触れることのできる傑物はいなかった。王羲之の「快雪時晴帖」に所有物を示す判を捺し、のみならず堂々と題字まで書き添えた人物に会いたいと思う。ひとめでもいいから。

あさだ・じろう
1951年東京都生まれ。作家。95年『地下鉄に乗って』で吉川英治文学新人賞、97年『鉄道員』で直木賞、
2010年『終わらざる夏』で毎日出版文化賞、16年『帰郷』で大佛次郎賞を受賞。15年、紫綬褒章を受章。

田中優子

グローバリゼーションを生きた人々

アメリカ大陸から太平洋を渡って、スペインのガレオン船が大量の銀をアジアに運び始めた時、地球上が人類の動線によってぐるりとひとつになったのである。大西洋と太平洋が結ばれたことによって、西アジア、東アジア、東南アジア、南アジアは大きな変容を遂げ、その内部をがらりと変え始めたのである。その能動的な変化をともなうものが、グローバリゼーションであった。(中略)

世界史はバランスを気にする。しかし人物史となると、「その人物」の生き方や視野がテーマとされる。これは人物を多様にすればするほど、そこに時代が多面的立体的に現れてくることになり、甚だ面白い。

たなか・ゆうこ
1952年神奈川県生まれ。法政大学名誉教授、前総長。2005年紫綬褒章受章。著書に
『江戸百夢 近世図像学の楽しみ』(芸術選奨文部科学大臣賞、サントリー学芸賞)など多数。

原 泰久

まだ手をつけられていない宝の山

歴史上の偉人もみなひとりの人であり、この『アジア人物史』でも、人が生まれて生きて死ぬ、という人間の生涯が描かれています。紀元前のアジアを舞台とする第1巻には、神話の世界から、激動の古代世界を生きる人々の名前が並びます。三国志の登場人物はもちろん、孔子や司馬遷のような有名な人たち、そして僕たちにはあまり馴染みのない古代メソポタミアや南アジアの英雄たち、匈奴の冒頓単于といった魅力的な遊牧民も登場します。漫画家にとっては、まだあまり手がつけられていない宝の山のようなシリーズ。歴史への興味は、人への興味だと思います。僕も遠い昔を生きた人たちへの興味から『キングダム』を描き続けています。

はら・やすひさ
1975年佐賀県生まれ。漫画家。「週刊ヤングジャンプ」で連載中の歴史漫画
『キングダム』は、累計1億部を誇る大人気作品。

現代のアジア史研究の

第一人者10名による編集委員

  • 青山亨

    あおやま・とおる

    一九五七年生まれ。東京外国語大学理事。シドニー大学大学院文学部インドネシア・マレー学科博士課程修了。Ph.D. 専攻は、東南アジア古代史。主な共編著に『東南アジアを知るための50章』(明石書店)など。

  • 成田龍一

    なりた・りゅういち

    一九五一年生まれ。日本女子大学名誉教授。早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了、博士(文学)。専攻は、日本近現代史。主な著書に『歴史論集』(全三冊、岩波書店)など。

  • 伊東利勝

    いとう・としかつ

    一九四九年生まれ。愛知大学名誉教授。成城大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。専攻は、ミャンマー社会経済史。主な編著に『ミャンマー概説』(めこん)など。

  • 古井龍介

    ふるい・りょうすけ

    一九七五年生まれ。東京大学東洋文化研究所教授。ジャワハルラール・ネルー大学社会科学研究科歴史学研究センター博士課程修了。Ph.D. 専攻は、南アジア古代・中世初期史。主な著書にLand and Society in Early South Asia: Eastern India 400–1250 AD(Routledge)など。 

  • 小松久男

    こまつ・ひさお

    一九五一年生まれ。東京大学名誉教授。東京大学大学院人文科学研究科博士課程中退。専攻は、中央アジア近現代史。主な著書に『革命の中央アジア——あるジャディードの肖像』(東京大学出版会)など。

  • 三浦徹

    みうら・とおる

    一九五三年生まれ。お茶の水女子大学名誉教授、公益財団法人東洋文庫研究員。東京大学大学院人文科学研究科修了。専攻は、アラブ・イスラーム史。主な編著に『イスラーム世界の歴史的展開』(放送大学教育振興会)など。

  • 重松伸司

    しげまつ・しんじ

    一九四二年生まれ。追手門学院大学名誉教授。京都大学大学院文学研究科博士課程中退、博士(文学)。専攻は、南アジア近代史。主な著書に『国際移動の歴史社会学——近代タミル移民研究』(名古屋大学出版会)など。

  • 村田雄二郎

    むらた・ゆうじろう

    一九五七年生まれ。同志社大学教授、東京大学名誉教授。東京大学大学院人文科学研究科博士課程中退。専攻は、中国近現代史、日中関係史。主な著書に『語言・民族・国家・歴史——村田雄二郎中国研究文集』(重慶出版社)など。

  • 妹尾達彦

    せお・たつひこ

    一九五二年生まれ。中央大学名誉教授。大阪大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。専攻は、中国都市史。主な著書に『グローバル・ヒストリー』(中央大学出版部)など。

  • 李成市

    リ・ソンシ

    一九五二年生まれ。早稲田大学名誉教授。早稲田大学大学院文学研究科博士課程退学、博士(文学)。専攻は、東アジア史。主な著書に『闘争の場としての古代史——東アジア史のゆくえ』(岩波書店)など。

第8巻巻頭言

村田雄二郎

本巻はおおむね一七〜一九世紀のアジア史の舞台に躍り出た人々をあつかう。歴史学の時期区分に従えば、近世アジアの人物史ということになる。

一七〜一九世紀といっても、登場する人物たちが「自分は一八世紀の人間だ」とか「私は世紀末に生きている」とかいう意識があったわけでは、毛頭ない。彼ら/彼女らは、宗教や王権が定めるカレンダー(暦)にしたがい、各自の文化によって意味づけられる時間を生きていた。西暦とGMT(グリニッジ標準時)を使うことが当たり前になった現代とは大きなちがいである。

近世とは近代初期(early modern)の謂であり、近代への移行期である。「西力東漸」といわれる西ヨーロッパ諸国のアジア進出がはじまり、「西洋」の存在はアジア諸地域の政治や社会経済に根づきはじめた。東インド会社を橋頭堡として、貿易によるアジアとの関わりが深まり、それはやがて植民地支配や砲艦外交となって、アジアの人々の生活のありようを根底から変えていく。また、東アジアの琉球・日本・朝鮮・中国のように、政府の出入国管理が強まり、管理貿易体制が敷かれながらも、独自の文化的成熟を遂げた地域もあった。そうしたプロセスのなかで、各地域の「国」のありようもまた大きく変容したが、それは太平の時代が終わり、新たな秩序や価値の創出を目指す動きのはじまりでもあった。とはいえ、そうした試みが順風満帆に進んだわけではない。そこには多くの挫折があり、敗北があり、後退があった。いいかえれば、近世アジアの最終局面は、戦乱と混迷に彩られる時代でもあった。

巻頭言の続きはこちら

だが、それは反面、ヨーロッパを触媒とした「主体としてのアジア」の形成過程でもあった。あるいは、民族国家の原型をなす「国」のかたちを模索する時代であった。ベトナム・トルコ・インド・中国などで後世「民族英雄」として国家の祭壇に上せられる改革者や反乱指導者たちが強烈な存在感を示すのが、近代へと接続するこの時代の大きな特徴である。もちろん諸地域における国家や市場の統合の度合いは千差万別で、近代という課題への向き合い方も異なってはいたが、各自の文化の個性はこの時代の歴史にくっきりと刻印されている。

アジアの歴史に即して、近世という時代をどのように定義し解釈するかは、答えるのが厄介な問いの一つである。決して「ひとつ」ではないアジアの近世に、なにか共通する特徴があるのか。あるとすれば、それは近代世界の形成とどのような関係にあるのか。

内陸アジア史の専門家ジョセフ・フレッチャーは、遺稿となった論文「統合的歴史」で「単一の近世史は存在するか」という問いを設定し、こう答えている。一見したところ政治的に分断され相互に無関係に見える諸地域(ヨーロッパ、北米を含む)も、北半球を一周する飛行機の乗客となって俯瞰するならば、そこにマクロなパターンの同時並行性を見出せる。すなわち、(一)人口の増加、(二)歴史的テンポの加速化、(三)経済活動の中心としての「地方」都市の成長、(四)都市商業階層の勃興、(五)宗教の再興と宣教活動、(六)農村の騒擾、(七)遊牧民の没落、といった動きである(Fletcher, Joseph, “Integrative History: Parallels and Interconnections in the Early Modern Period, 1500-1800”, Journal of Turkish Studies, 9, 1985.要約は岸本美緒「東アジア・東南アジア伝統社会の形成」〈『岩波講座世界歴史13』岩波書店、一九九八〉による)。本書の各章は、フレッチャーの観察の正しさを裏づけるであろう。

フレッチャー自身は、この同時並行性の原因を説明していないが、一つの重要な前提条件として、この時期、アジア域内の交易が空前の活況を呈し、モノやカネやヒト、そして情報の流通が飛躍的に高まったことを挙げるべきだろう。本シリーズのキーワードでもある「交流」が、地域や国家をまたいで広域的かつ濃密に展開したのが、近世という時代の特徴だったのである。そして、アジアの周縁たる「西洋」も、この交流の空間に積極的に参与していった。アンガス・マディソンの推計によれば、世界のGDP(国内総生産)でアジアの占める割合は、一七〇〇年で六一・八パーセント、一八二〇年で五九・四パーセントであった。対する西ヨーロッパ+米国の割合はそれぞれ二二・〇パーセント、二四・八パーセントである。一八二〇年まで世界のGDPの半分以上をアジア諸地域が占めていたことになる。とくに中国のGDP値はながらくトップの座にあり、一八二〇年の時点で世界全体の三二・九パーセントであった(アンガス・マディソン著、公益財団法人 政治経済研究所監訳『世界経済史概観——紀元1年–2030年』岩波書店、二〇一五)。

この比率が大きく変化するのが一八二〇年後の半世紀の間で、一八七〇年になるとアジアが三八・三パーセントへと減るかわりに、西ヨーロッパ+米国が四二・〇パーセントに伸長している。英清アヘン戦争(一八四〇〜四二)に前後する時期が、東西の力関係が逆転する大きな節目であったことがわかる。この間、東南アジアでは一八二六年にイギリスが海峡植民地を設け、自由貿易港シンガポールを起点に海洋交易を拡大していった。ヨーロッパのアジアへの本格進出にともない、インドでは大反乱(一八五七〜五八)、清朝中国では太平天国運動(一八五〇〜六四)があり、オスマン帝国は二度にわたるエジプトとの戦争(一八三一〜三三、三九〜四〇)の後、ロシアとクリミア戦争(一八五三〜五六)を起こした。また、中央アジアではロシアの進出によりテュルク系イスラーム王朝が保護国化され、東トルキスタン(現・中国新疆領)でヤークーブ・ベグの反乱(一八六五〜七七)が発生した。英露グレート・ゲームの一環をなす地域変動である。

これ以降、アジアの諸国家・諸地域は植民地体制のもと、あるいは「西洋の衝撃」にさらされつつ、改革と自立の苦難に満ちた道を模索しはじめる。あるときは「西学」が参照軸となり、またあるときは「西教」に対抗する文化価値が反照的に創り出された。ヨーロッパの外部を指すに過ぎなかった「アジア」が、俄然ポジティブな意味を帯びはじめたのである。

一八二〇年を転換点とする東西の「主役交代」から約二〇〇年が経過した。経済力からすれば、日本と四頭の小龍(シンガポール・香港・台湾・韓国)に続き飛躍的成長を遂げた中国は、すでにGDP値で世界第二位の経済大国になり、人口大国インドも近年著しい成長を見せている。アジア経済が「再び」世界を牽引する時代が到来しているのである。そうした現実を踏まえるとき、近世アジアの人物群が、重なる失敗や挫折のなかで、弛むことなく試みてきた自立と改革の動きは、どのように見えてくるであろうか。

歴史学とは、過去を振り返り、現在の足場を省みる認知のプロセスである。

新型コロナウイルスによる「交流」の遮断・停滞という未曾有の事態を経験したわれわれに、本巻の登場人物たちはなにを語りかけてくるのか。勝者のみならず、闇に消えていった敗者、そして名もなき人々が残した声ならぬ声に、注意深く耳を傾けたい。

古代から21世紀へと駆け巡った人物たちの評伝を積み重ねて描く、初の本格的アジア通史。全編書き下ろし。

170名を超す研究者たちが総勢10,000名にいたる登場人物たちの個性をあぶり出す。

人物選定のキーワードは“交流”。従来の歴史に埋もれてきた人物まで掘り起こし、同時代の国家・地域の接点を横軸で俯瞰できる。

2022年度から高校の学習指導要領が改定され、「歴史総合」が必履修科目として新設。その学習にも役立つ内容。

『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズの荒木飛呂彦氏が全巻のカバー装画を描き下ろし。

  • 【主な人物】
    ハンムラビ/ダレイオス1世/イエス/ブッダ/
    アショーカ/孔子/
    始皇帝/冒頓単于/司馬遷/
    王莽/曹操/カニシュカ一世/
    トーラマーナ/ミヒラクラ/カウンディンヤ/プールナヴァルマン

    【執筆陣】
    古井龍介/月本昭男/横地優子/牧角悦子/野崎充彦/
    坂本勝/坂井弘紀/
    北川香子/柴田大輔/阿部拓児/
    馬場紀寿/湯浅邦弘/鶴間和幸/林俊雄/
    藤田勝久/
    渡邉義浩/宮本亮一/青山亨

    「月報」エッセイ・原泰久

    〈好評発売中〉

    ◎定価4,400円

  • 【主な人物】
    ナーガールジュナ/ブッダゴーサ/苻堅/
    昭明太子/陶淵明/
    蕭皇后/文帝/広開土王/
    長寿王/武寧王/真興王/厩戸王子/
    金春秋/
    神文王/天智天皇/天武天皇/ムハンマド

    【執筆陣】
    李成市/斎藤明/馬場紀寿/佐川英治/齋藤希史/
    村井恭子/河上麻由子/
    井上直樹/田中俊明/
    河内春人/植田喜兵成智/仁藤敦史/医王秀行

    「月報」エッセイ・内田樹

    〈好評発売中〉

    ◎定価4,400円

  • 【主な人物】
    武則天/玄奘/元暁/道慈/
    ソンツェン・ガムポほか/トニュクク/
    安禄山/
    杜甫/黄巣/サンジャヤ/シャイレーンドラ/
    ジャヤヴァルマン二世/マアムーン/
    耶律阿保機/王建

    【執筆陣】
    妹尾達彦/倉本尚徳/石井公成/吉田一彦/岩尾一史/
    鈴木宏節/松原朗/
    山根直生/青山亨/松浦史明/
    上田新也/清水和裕/森部豊/趙仁成/
    李成市

    「月報」エッセイ・ヤマザキマリ

    〈好評発売中〉

    ◎定価4,400円

  • 【主な人物】
    藤原道長/白河院/慈円/李子淵/
    思粛太后李氏/李資謙/
    ラージャラージャ一世/
    ラージェーンドラ一世/
    ヴィクラマーディティヤ六世/
    ジャヤヴァルマン七世/
    アイルランガ/司馬光/
    徽宗/李清照/朱熹(朱子)/
    ヌールッディーン/サラディン/
    バイバルス一世/崔忠献

    【執筆陣】
    三浦徹/大津透/大隅和雄/豊島悠果/石川寛/
    青山亨/松浦史明/
    伊東利勝/上田新也/櫻井智美/
    久保田和男/松尾肇子/小島毅/矢木毅

    「月報」エッセイ・佐藤賢一

    〈好評発売中〉

    ◎定価4,290円

  • 【主な人物】
    チンギス・カン/クビライ・カアン/
    ラシードゥッディーン/
    関漢卿/王重陽/
    丘長春/北条泰時/夢窓疎石/忠烈王/
    ニザームッディーン・アウリヤー/ガジャマダ/
    イブン・バットゥータ/イブン・アラビー/
    イブン・タイミーヤ

    【執筆陣】
    小松久男/宇野伸浩/松田孝一/大塚修/金文京/
    横手裕/大隅和雄/榎本渉/
    森平雅彦/二宮文子/
    青山亨/上田新也/伊東利勝/川口洋史/家島彦一/
    東長靖/原陸郎

    「月報」エッセイ・北方謙三

    〈好評発売中〉

    ◎定価4,400円

  • 【主な人物】
    ティムール/李成桂/世祖/足利義満/
    足利義政/尚巴志/尚泰久/
    藍玉/鄭和/
    王守仁(王陽明)/メフメト二世/バーブル/
    王直/
    アルタン・ハーン/ダンマゼーディー/
    ムザッファル・シャー/
    ワリ・ソンゴ/
    ヌールディン・アル・ラーニーリー/黎聖宗/
    范公著/ペドロ・バウティスタ・ブラスケス/
    ロレンソ・ルイス

    【執筆陣】
    青山亨/堀川徹/吉田光男/橋本雄/前田舟子/
    川越泰博/荷見守義/小島毅/
    林佳世子/間野英二/
    上田信/伊東利勝/川口洋史/釈悟震/新谷春乃/
    北川香子/菊池陽子/西尾寛治/菅原由美/上田新也/
    菅谷成子

    「月報」エッセイ・大澤真幸

    〈好評発売中〉

    ◎定価4,400円

  • 【主な人物】
    イスマーイール一世/アッバース一世/
    セリム一世/
    スレイマン一世/
    キャーティプ・チェレビー/
    エヴリヤ・チェレビー/
    アクバル/ザビエル/
    ヴァリニャーノ/織田信長/豊臣秀吉/
    徳川家康/徳川秀忠/徳川家光/李舜臣/光海君/
    李滉(李退渓)/
    李珥(李栗谷)/
    鄭氏一族(鄭成功ほか)/康熙帝/黄宗羲/
    ダライ・ラマ六世/ニャウンヤン/ナライ/
    イスカンダル・ムダ/
    スルタン・アグン

    【執筆陣】
    三浦徹/近藤信彰/林佳世子/宮下遼/真下裕之/
    岡美穂子/中野等/辻大和/
    川原秀城/豊岡康史/
    伊東貴之/池尻陽子/伊東利勝/川口洋史/北川香子/
    菊池陽子/青山亨/菅原由美/田村慶子/今井昭夫/
    西尾寛治

    「月報」エッセイ・田中優子

    〈好評発売中〉

    ◎定価4,400円

  • 【主な人物】
    羽地朝秀/雨森芳洲/徳川綱吉/徳川吉宗/
    田沼意次/荻生徂徠/
    李瀷/洪大容/乾隆帝/
    阮恵/阮福暎/ハイダル・アリー/
    ラームモーハン・ローイ/ミドハト・パシャ/
    ケネサル/ワリハノフ/
    ターイブ/ダーニシュ/
    ガスプリンスキー/ドゥクチ・イシャーン/
    容閎/西太后/袁世凱

    【執筆陣】
    村田雄二郎/前田舟子/木村直也/深井雅海/
    高田綾子/平石直昭/川原秀城/
    谷井陽子/
    多賀良寬/今井昭夫/川口洋史/北川香子/
    太田信宏/臼田雅之/
    佐々木紳/小松久男/倉田明子

    「月報」エッセイ・浅田次郎

    〈好評発売中〉

    ◎定価4,400円

  • 【主な人物】
    崔済愚/高宗/横井小楠ほか/福沢諭吉/
    渋沢栄一/伊藤博文/
    内村鑑三/内藤湖南/
    孫文/サヤー・サン/
    ジャマールッディーン・アフガーニー/
    メヘディーコリー・ハーン・ヘダーヤト/
    ムスタファ・ケマル・アタテュルク/
    ムナッヴァル・カリほか

    【執筆陣】
    姜尚中/井上和枝/糟谷憲一/都冕會/前田勉/
    大久保健晴/中村敏子/
    武田晴人/石川健治/
    赤江達也/陶徳民/村田雄二郎/深町英夫/伊東利勝/
    高城玲/菊池陽子/今井昭夫/菅原由美/中野聡/
    栗田禎子/岡崎弘樹/
    黒田卓/粕谷元/小松久男

    「月報」エッセイ・高橋源一郎

    〈好評発売中〉

    ◎定価4,510円

  • 【主な人物】
    尹致昊/金マリア(瑪利亜)/李載裕/魯迅/
    張愛玲/林献堂/
    カルティニ/
    カマラーデーヴィー・チャットパディヤーイ/
    オリガ・レベヂェヴァ/
    アブデュルレシト・イブラヒム/
    ドースト・ムハンマド/
    アブドゥッラフマーン・ハーン/
    ハビーブッラー・ハーン/
    アマーヌッラー・ハーン/
    ジェブツンダムバ・ホトクト八世
    (ボグド・ハーン)/
    エルベグドルジ・リンチノ/
    サアド・ザグルール/
    マラク・ヒフニー・ナースィフ/後藤新平/
    夏目漱石/柳田国男/
    吉野作造/
    与謝野晶子ほか/伊波月城

    【執筆陣】
    成田龍一/小野容照/井上和枝/水野直樹/布袋敏博/
    藤井省三/許雪姫/
    富永泰代/粟屋利江/帯谷知可/
    小松久男/山根聡/青木雅浩/松本弘/
    後藤絵美/
    鶴見太郎/姜尚中/中村敏子/比屋根照夫

    「月報」エッセイ・上野千鶴子

    〈好評発売中〉

    ◎定価4,400円

  • 【主な人物】
    金性洙/金天海/高橋亨ほか/岩生成一/蔣介石/
    宋一族(宋美齢ほか)/胡適/陳寅恪/毛沢東/
    ホセ・リサール/
    アウン・サン/スカルノ/
    ピブーン/ガンディー/
    モハンマド・モサッデク/
    昭和天皇/尾崎秀実/
    中野重治/林達夫/李香蘭/
    山代巴/森崎和江

    【執筆陣】
    重松伸司/永野慎一郎/水野直樹/樋口雄一/
    布袋敏博/林慶澤/周婉窈/
    土田哲夫/緒形康/
    石川禎浩/伊東利勝/中野聡/菅原由美/玉田芳史/
    小泉順子/菊池陽子/新谷春乃/左右田直規/
    今井昭夫/臼田雅之/
    貫井万里/吉田裕/茶谷誠一/
    手嶋泰伸/ 源川真希/古川隆久/瀬畑源/
    米谷匡史/
    武藤武美/落合勝人/晏妮/長志珠絵

    「月報」エッセイ・
    テッサ・モーリス-スズキ

    〈好評発売中〉

    ◎定価4,510円

  • 【主な人物】
    金日成/朴憲永/李承晩/金大中/朴正熙/
    鄧小平/李登輝/
    ブルース・リー/
    ダライ・ラマ一四世/ホー・チ・ミン/
    ノロドム・シハヌーク/サリット・タナラット/
    リー・クアンユー/
    マハティール・モハマド/
    フェルディナンド・マルコス/スハルト/
    ネー・ウィン/レ・ズアン/ゴ・ディン・ジェム/
    ジャワーハルラール・ネルー/
    ブルハーヌッディーン・ラッバーニーほか/
    ヒンドゥスターニー/ホメイニー/ナセル/
    ヤセル・アラファト/
    石坂泰三/野坂参三/
    宮本顕治/岸信介/丸山真男/水木しげる/
    知里幸恵/違星北斗/萱野茂/大田昌秀

    【執筆陣】
    伊東利勝/和田春樹/太田修/益尾知佐子/家永真幸/
    倉田徹/小林亮介/
    今井昭夫/新谷春乃/玉田芳史/
    田村慶子/左右田直規/中野聡/増原綾子/
    菊池陽子/
    中溝和弥/山根聡/小松久男/吉村慎太郎/長沢栄治/
    臼杵陽/
    武田晴人/姜尚中/杉田敦/趙星銀/孫歌/
    新倉貴仁/乙部延剛/
    四方田犬彦/成田龍一/
    比屋根照夫

    「月報」エッセイ・池上彰

    〈2024年4月26日刊行予定〉

    ◎定価4,510円

〈2025年2月26日刊行予定〉

◎予価2,420円

◆四六判ハード ◆全12巻+索引巻合計セット予価=55,440円
※タイトル・内容・価格・発売日は変更になる場合があります。また、一部地域では発売日が異なります。
※表示価格はすべて10%税込価格です。

© LUCKY LAND COMMUNICATIONS / 集英社

組見本

  •  思い出すのは高校時代、世界史の授業。念仏を唱えるかのように(などと書くと話がややこしくなりそうですが)「アショーカ、カニシュカ……」と口を動かした経験があるのは、きっと暗記が苦手だった私だけではないはず。その(どの?)アショーカが、紀元前の人物なのに現代社会にまで影響を及ぼす稀有な人物だったこと、本シリーズを通じて初めて知りました。

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     一大国家を築くまでに犯した大殺戮とそれへの悔恨、仏教という一宗教を超えた多様な文化・社会集団の包摂。他方で払拭しきれなかった、独善と暴力性。アショーカの生涯は、文字通り世界史的なダイナミズムと人間臭さの両方を一身に抱え込んだ、私のような初学者にとっても魅力溢れるものです。しかし、本当に注目すべきは彼の死後。今日に至るまで、時代や宗教、地域に即した様々なバージョンの「アショーカ伝」が紡がれ……。
     時を超え、彼自身が様々な碑文に遺した言葉によって実像が蘇ったというのも、アショーカの魅力です。石柱碑に刻まれた古の文字を解読することで明らかになった人物像、歴史のロマンをぜひ味わってみてください。

  •  京都の地域を洛北、洛西などと言ったりするが、その洛の字の由来となる街が洛陽である。中国河南省の北西部、黄河の中流域に今も生きている街だ。六九〇年、武則天はここに周王朝を建て、中国の歴史上、唯一の女性皇帝となった。しかし、その約四〇〇年後、歴史家の司馬光は、『資治通鑑』で女性が皇帝になった周王朝を正当とは認めなかった。その影響は今も根強いという。また残虐な印象も膨らんだ。

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     第3巻第1章の妹尾達彦氏の「武則天」はそれらのイメージを丁寧に、かつ大胆に剥がしてくれる。氏が肖像に使ったのは、その容姿を模したと言われる龍門石窟の盧舎那仏だ。
     彼女は、男性中心の儒教社会の秩序を仏教や様々な要素を使い再編成していく。それは神都と改称した洛陽の新たな街作りにも現れる。日本という国号や平城京との関わりも興味深い。
     そうした専門的な、宗教、都市計画、国際的な視点などもあるが、それと絡んでというか根底では、民衆の一人として喜怒哀楽を感じながら、とても面白く読める。そのことは章中の地図に氏の発案で縮図の地球が入っていることにも繋がっている、と未確認だが私は思うようになった。ぜひ御一読を。

  •  歴史は暗記すべき記号ではない。どの時代にも息づいている物語がある。本シリーズの魅力はその時代を生きた人物の物語をそれぞれの作者の筆致で読み通せるところではないだろうか。

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    特にその物語が語られるようになった経緯ごと興味深いのが、西太后である。凄まじい悪女のイメージが強固としてある彼女。呂后、武則天と並び、中国の三大悪女の一人として有名である。この負のイメージは、彼女の反対勢力や後生に語る者が付帯・誇張していったものであるといういきさつをも含めて考えると、新たな方向へも視野が開かれるように思う。西太后は清朝末期、幼帝となった同治帝・光緒帝の二代に亘り垂簾聴政を行い、皇太后という立場でもって半世紀にも及ぶ権勢を誇った。恭親王との連合政権を誕生させた辛酉政変により、清朝の権力構造は大きく変化する。自強策を推進し同治中興と言われる安定期をもたらし、康有為らによる戊戌変法は挫折、その後の義和団戦争は結果的に清朝大改革の起点となった。この時期の歴史的転換がいずれ現在に繋がってくるのである。
     人物の実像を結ぶ物語によってその時代が見通せるようになり、翻って私達の生きている現在の在り様に立ち返ることもできるだろう。西太后の物語をぜひ辿ってみてほしい。

  •  この人物の生涯を、たとえば同時代の革命家マルクス、エンゲルスに準えることができると言えば、やや大仰に聞こえるだろうか? いや、決してそんなことはない。亡命を強いられつつ中東全域を遍歴して思想・政治活動を展開、行く先々で中東史上特筆される民衆運動の素地を作ったとされるこの「アフガニスタン出身」——本人はそう語ったが、実の生まれはイランらしい——の活動家は、言うなれば中東が生んだ「国際革命家」だ。話は中東世界に留まらない。その影響力はヨーロッパ、ロシア、米国、果ては日本の知識人たちにも波及し、地球規模の反帝国主義ネットワークを形成していたというから仰天する。

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     そして何より興味深いのは、その思想が驚くべき先駆性を備えていること。イスラームをめぐる思考のみならず、戦争、植民地主義、人種主義にまつわる洞察、宗教・宗派対立の克服といった問題意識の有り様には、今なお目を見はるものがある。
     と、ここまで来て、仮にも「頑迷な」イスラーム主義者の姿を思い浮かべたとしよう。本書でアフガーニーの軌跡を辿ってみれば、そこには意外にも柔軟で調和的とも言えるひとりの思想家の貌が見出されるはずだ。硬直しているのは、こちら側なのかもしれない。

  •  初めて聞く名前、という方も多いでしょう(私自身もそうでした)。こうした人物が数多く収録されているのも本シリーズの特徴の一つ。かれは一九世紀半ば、ロシア帝国の西シベリアに生まれたムスリム知識人で、中央アジアにルーツをもつタタール人です。欧州列強に支配されるイスラーム世界の解放を目指して、ユーラシア大陸を東奔西走しました。

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     若くして聖都メディナで学識を深めたのち、ロシアの公職を経てオスマン帝国を拠点に言論活動を展開。一九〇七年から足かけ三年のアジア周遊では日本との連帯を模索して来日、犬養毅ら政府要人や頭山満などアジア主義者たちとも論じ合います。しかし、やがて時代はイブラヒムを見放しました。トルコを追放されたかれが最後に辿り着いたのは、再び日本。軍部の思惑に利用されつつも、渋谷の東京モスク(現・東京ジャーミイ)の初代イマーム(導師)を務め、四四年に没します。この間、かの井筒俊彦にアラビア語も教えていたとか。
     世界史に残る偉業を成し遂げたわけではないかもしれません。しかし曲折を経て日本とイスラーム世界を結びつけたかれの足跡から、人物史の味わい深さを感じるのも確かです。