あらすじ ページが増える百物語の和とじ本や、店の前に置き去りにされた「捨て猫」ならぬ、猫の本など…次々と不可思議な事件が起きる。意外なあの人の一世一代の恋や、紺と恩師の知られざる過去、イケメン社長・藤島の新たな決意など、堀田家とその仲間たちのドラマからも目が離せない!
季節が巡り、それぞれが確かな一歩を踏み出すころ、なんとあの人も海の向こうへ飛び立つことに!?相変わらずおせっかいで温かな堀田家の1年を綴る、「旅立ち」の物語。
出会いと別れの季節に、あなたの背中を押してくれる、とっておきのプレゼントです。

 シリーズもついに五作目になってしまいました。堀田家の日々を五年も書いてしまったわけです。人がたくさんいますから、ネタはいくらでも出てくるのですが、「この一年で堀田家に起ったどんな出来事を伝えようか」を整理するのが大変ですね。「偉大なるマンネリ」を指向する物語ですが、新鮮な驚きも与えたいしで。
 タイトルは〈オール・マイ・ラビング〉。遠く離れていてもいつも君のことを思っているよ、という歌ですが、もちろんビートルズ繋がりと、今回のモチーフになっている「旅立ち」という意味合いも含めて選びました。
 いつも作品のサントラ盤のようなものを流しながら書いていますが、曲のリストはこんな感じです。 〈傷だらけの天使〉大野克夫、〈ノスタルジア〉〈月とラクダの夢を見た〉中山うり、〈胸の振子〉〈蘇州夜曲〉〈星影の小径〉アン・サリー、〈All You Need Is Love〉The Beatles。
 そしてそれぞれのタイトルになった〈She Loves You〉〈Stand By Me〉が加わり、『マイ・ブルー・ヘブン』では〈Take the “A” Train〉〈私の青空〉〈On The Sunny Side Of The Street〉というジャズの名曲が加わっています。
 ドラマが始まると『東京バンドワゴン』の文字が画面いっぱいに拡がり、軽快な〈傷だらけの天使〉のテーマが流れます。出演者の名前や顔が流れてオープニングが終了。朝の光が溢れる「堀田家」の外観が映り、カメラが家の中に入ると同時に中山うりさんの〈ノスタルジア〉が流れてきます。
 幼い頃に「お茶の間」で家族全員で観ていた「ホームドラマ」を書きたいと思って始めた『東京バンドワゴン』。
 読んでくれた人が、ニコッと笑って本を閉じてくれれば、ほんの少しでも幸せな気持ちになってくれれば、それだけで充分と思って書き続けています。これからも、好きだと言ってくれる人がいる限り、書いていきたいです。