あらすじ ☆老舗古書店〈東亰バンドワゴン〉を営む堀田家に、まさかの幽霊騒ぎが持ち上がる。夜中に棚から本が落ち、白い影が目撃されて、みんなドキドキ。我南人たちがつきとめた、騒動の意外な真相とは? さらに、貴重な古文書を巡って招かれざる客が来訪。それが思わぬトラブルへと発展して……。

 『東京バンドワゴン』シリーズも今回で十作目になりました。つまり一作目の『東京バンドワゴン』を出してからそろそろ十年が経つのです。何よりも、このシリーズを愛してくださっている読者の皆さんと、売ってくださる書店さんのお陰です。本当に、本当にありがとうございます。
 さて、今年の新刊『ヒア・カムズ・ザ・サン 東京バンドワゴン』。いつも通りに前作のすぐ何日か後からの堀田家の四季の出来事を追いました。実は大きなテーマも何もなく、僕としては〈淡々と〉綴りました。この十年(あ、でも作中の堀田家の中では十年経ってはいないのです。おおよそ五年ぐらいなのですが語られる事象は現実の流れに則していますご了承ください)堀田家にはそりゃあいろんな事がありました。ありすぎるぐらいにありました。でも本来〈日常〉は淡々と進んでいきますよね。お日様が昇って朝になって、昼になって、お日様が沈んで月が出て夜になる。その淡々と進む日常こそが、本当にありがたいことですよね。
 何があろうと、お天道さまは昇る。正しいものを見ていてくれる。
 曇る日もあれば雨も降るし雪も降る。でも、陽は昇る。必ず光り溢れる朝がやってくる。いつもの朝がくることに感謝して毎日を過ごしていく。ビートルズの名曲のタイトルにかけて、そういう気持ちで堀田家の日々を綴りました。
 このシリーズが、皆さんの日々の暮らしにほんの少しでも楽しさや明るさを添えられれば幸せです。どうぞ今回も堀田家をよろしくお願いします。